先端を追うのではなく、使える瞬間を待つ。
横井軍平がいう「枯れた技術」は、古びた技術という意味ではありません。広く使われ、品質が安定し、娯楽に使える価格まで下がった技術です。
その技術を、本来とは違う用途へ横に移す。電卓用の液晶を携帯ゲームへ、太陽電池を光線銃のセンサーへ。新しさは部品ではなく、使い方から生まれます。
横井軍平がいう「枯れた技術」は、古びた技術という意味ではありません。広く使われ、品質が安定し、娯楽に使える価格まで下がった技術です。
その技術を、本来とは違う用途へ横に移す。電卓用の液晶を携帯ゲームへ、太陽電池を光線銃のセンサーへ。新しさは部品ではなく、使い方から生まれます。
技術者は「少し価格を上げれば、こんな機能もつけられる」と考えがちです。しかし、その積み重ねは、使われない機能と高い価格を生みます。
横井は、たとえわずかな機能でも、利用者に必要がなければ削ると述べています。これは単なるコストダウンではありません。何を体験の中心に置くかを決める、設計上の判断です。
似た商品を作れば、既存市場で競合とのシェア争いになります。横井が目指したのは、比較される商品ではなく、比較する相手がまだいない商品でした。
ただし「世界にない」とは、世界最先端の技術を使うことではありません。すでにある技術から、まだ存在しない選択肢を作ることです。
ここでいう「すきま」は、売上の小さいニッチに留まるという意味ではありません。大企業が正面から競い合う性能競争を避け、別の価値基準を作る姿勢です。
ゲームボーイは、画面性能を最優先にするのではなく、価格、電池寿命、持ち運びやすさ、遊びやすさの組み合わせで独自の場所を作りました。
横井は、ゲーム&ウオッチの構想を何気ない会話の中で話しました。その後、山内溥が偶然シャープの社長と隣席になり、液晶技術との接点が生まれます。
発想が生まれること、必要な技術が安くなること、決断する人に届くこと。その複数の条件が重なって、初めてアイデアは商品になります。
少し意外な言葉ですが、横井が語っているのは恋愛の技巧ではありません。人の気持ちを引きたい、喜ばせたい、驚かせたい。その感情を商品へ向けることが、売れる商品の根本だという考えです。
技術や市場分析より前に、「この人に面白いと言ってほしい」という具体的な相手がいる。横井の玩具には、その人間的な出発点がありました。
その企画は、新しい技術を使っているだけか。新しい使い方を提案できているか。
利用者が使わない機能を、「念のため」という理由で残していないか。
競合と同じ評価軸で勝とうとしていないか。別の市場を作れないか。
AIで何ができるかではなく、誰をどんな気持ちにしたいかから考えているか。
大きく表示している語句は、横井軍平本人の文章や証言に確認できる言葉、または本人の文章で使われた見出しです。
各セクションの説明文は、本人の文章と商品開発の事例をもとに、「しろくま教授」が現代の読者向けに整理した解釈です。
今後、書籍名・掲載媒体・発表時期まで確認できたものから、出典情報を順次追加します。